「最近、うつの人が増えているよね」
そんな言葉を耳にする機会が増えました。確かに、「うつ」という言葉は以前より広く知られるようになり、隠さず打ち明けやすくなった側面もあるでしょう。
しかし、その一方で「何かあるとすぐに『うつ』だと言い訳にする」「新型うつ病は甘えだ」といった批判の声も聞こえてきます。
これは、「うつ」という言葉だけが独り歩きし、「うつ病」という病気そのものへの理解が不足しているために起こる誤解です。
目次
「うつ」と「うつ病」は違う!
「うつ」はあくまで気分が落ち込んだ状態を表す言葉であり、様々な要因で起こりえます。一方、「うつ病」は脳の機能異常によって引き起こされるれっきとした病気です。
「うつ病」は決して「気の持ちよう」や「心の弱さ」が原因ではありません。
「心のインフルエンザ」とも呼ばれる、深刻な病気
「うつ病」は、放置すると症状が悪化し、最悪の場合、自殺に至るケースもあります。
かつては「心の風邪」と表現されることもありましたが、実際には「心のインフルエンザ」と呼ぶべき深刻な病気なのです。
「うつ病」のメカニズム:複雑に絡み合う要因
では、一体何が「うつ病」を引き起こすのでしょうか?最新の研究では、「脆弱性-ストレスモデル」という考え方が有力視されています。
これは、
- 遺伝的要因(脆弱性): うつ病になりやすい体質。ただし、これだけでは発症しない。
- 環境要因(ストレス): 過度なストレスや辛い出来事。
この二つが組み合わさることで「うつ病」が発症すると考えられています。
性格、ライフイベント、脳内物質…様々な要因が複雑に絡み合う
「うつ病」の発症には、
- 几帳面で責任感が強いなど、特定の性格
- 離婚、死別、失職などの喪失体験
- 脳内神経伝達物質のバランス異常
- 脳由来神経栄養因子(BDNF)の減少
など、様々な要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
最新の脳科学が明らかにする「うつ病」の真実
近年、脳機能画像研究や脳血流研究が進歩し、「うつ病」患者の脳内で
- 海馬の萎縮
- 前頭前野の活動低下
などが起きていることが明らかになってきました。
これらの研究成果は、「うつ病」のメカニズム解明や、より効果的な治療法の開発に繋がると期待されています。
「うつ病」は決して一人で抱え込むべきものではありません。
専門家の適切な診断と治療を受けることで、回復できる病気です。
この記事が、「うつ病」に対する正しい理解を深め、苦しんでいる方が適切なサポートを受けられる一助となれば幸いです。
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